特許権を侵害する旨の通知があったとき(1)
ー警告状の表題、文面、差出人などから相手の意図は感じ取れるー

 自社で、ある製品を実施していたところ、特許権を侵害する旨の通知書(警告状、通知書、お知らせ、問い合わせ等、表題は様々です)が送付されてしまったとき、いくつかの留意すべき事項があります。

(1)特許権を侵害する旨の警告状等が送付された

 特許権を侵害する旨の警告状等が送付された場合、その警告状の文面、権利者、実施状況、権利の内容などに応じて、様々な対応策が考えられます。
 警告状等は、他人の財産権を侵害している(「あなたは不法行為をしています」)という旨の通知であることから、真摯に受け止めた上での対応を心がける必要があります。
 警告状に対して全く対応しない、或いは、適当にあしらったり、感情的な回答をする等、不適切な対応をしていると、企業価値を損ねたり、将来的に無用な紛争に発展してしまう等の問題が生じる可能性があります。また、そのような問題は、起きてしまってから元に戻すのはきわめて難しく、かえって時間や費用の無駄になる可能性もあります。

 警告状がきた段階で、しっかりとした対応ができれば、そのようなリスクを前もって回避することが可能であり、将来的にビジネスを展開して行く上で、何らかの利益をもたらす可能性が残ります。相手側は、同業者の場合もあれば、自社にとってユーザ(将来ユーザに成り得る者)である場合もあるでしょう。特に、ユーザでもある一般消費者から警告状が来たような場合、たとえそれが言掛かり的なものであっても、回答書では、決して感情的な表現を用いずに(読み手側を不快に思わせない)、毅然とした態度で対応することが肝要です。相手方に不快感を与えてしまうと、何らかのトラブルが発生したり、今後のビジネスの展開に影響を及ぼすことも考えられます。

 回答書は、文書として残り、回答者の氏名(通常は代表取締役の名前と思われます)も記載しますので要注意です。

(2)警告状の表題、文面、差出人などから相手の意図は感じ取れる

 警告状がきたとき、まずは、その表題、文面、差出人名などから、相手方の意図をある程度、感じ取ることもできます。

 例えば、表題に関しては、「警告状」「警告書」のようなもの(表現としてきつい部類になります)もあれば、「通知書」や「通告書」「お知らせ」のように多少ソフトな表現が用いられていることもあります。また、配達方法についても、「内容証明郵便」でくる場合もあれば、「配達証明」、「速達」、「通常郵便」等で送られてくることもあります(その他、稀ですがメールで通知されたり、口頭で知らせてくるケースもあります)。

 差出人名に関しては、権利者の代表取締役である場合、或いは、弁護士や弁理士が代理人となっている場合、知財部門の社員(例えば知財部の部長名)であるような場合もあります。

 また、文面に関しても、こちらの製品名を具体的に挙げていたり(詳細に調査している)、直ぐにでも差止めや仮処分をしそうな迫力が感じられるもの、或いは、交渉に含みを持たせているもの(実施料の支払い等によって、円満に解決しようとするもの)等があります。

 表題、配達方法、差出人名、内容により、ある程度、相手方の意図を感じ取ることは可能であり、それに応じて適切かつ誠実に応答することが重要になります。

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